当社は開業以来、安全・安定・安心輸送の確保を最優先とし、地域に密着した鉄道として、お客様サービスの向上に取り組んでまいりました。昨今の物価高騰等に対応しつつ今後とも持続可能な経営を行うため、当社の更なる経営努力を前提に、運賃改定を2026年3月に実施します。
今後とも、安心と信頼の鉄道輸送を堅持し、沿線地域をつなぐ鉄道として、地域とともに沿線価値のさらなる向上に努めてまいりますので、何卒ご理解いただきますようお願い申し上げます。
運賃改定の理由
これまでの取り組み
当社はこれまでに車両・鉄道施設等の保守管理に加え、輸送人員の増加に適切に対応すべく、車両の増備や秋葉原駅の出入口増設、入出庫線の複線化等、混雑対策をはじめとする安全・安定・安心輸送及び充実したサービスの提供に資する設備投資を順次実施してまいりました。


また、開業時からATO(自動列車運転装置)によるワンマン運転の導入や弾性マクラギ直結軌道の採用、各鉄道施設や設備を一元的に管理するシステムの導入等の取組みを行っており、これにより業務効率化を図り、人件費率を低水準に保つ等、能率的な経営を行うことで運賃水準を維持してまいりました。
運賃改定が必要な理由
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安全・安定・安心輸送の維持・向上やサービス改善に向けた設備投資等への対応
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安全対策に係る設備投資【2026~2028年度 投資額計:約174億円】
- 2005年に全線約60キロを一斉開業したため、鉄道施設・設備は同時期に一斉に更新時期を迎えます。例えば、変電所やホームドア等の更新は、通常の保守を行いながら限られた人員で、終電後から初電前の夜間約3時間程度で行うこと、地下と高架の完全立体構造のため、資材の搬入・搬出に制約があること等を考慮し、計画的に実施する必要があります。また、必要最低限の車両等を保有、時速130キロの高速運行で運用しており、車両やレール等について予防保全による更新等が必要となります。
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▲ 車両及び関係機器類の更新 ▲ 変電所の更新 ▲ ホームドアの増備・更新
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サービス改善他に係る設備投資【2026~2028年度 投資額計:約208億円】
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混雑緩和対策
抜本的な混雑緩和対策として8両編成化事業に取り組んでいます。これまでにホーム延伸については、都内の地下駅6駅(秋葉原駅、新御徒町駅、浅草駅、南千住駅、青井駅、六町駅)の土木・建築工事が終了しました。 2024年度には北千住駅のホーム延伸工事に着手しており、 2025年度は北千住駅工事を継続するとともに、柏たなか駅のホームの延伸工事にも着手する予定です。



また、8両編成化等今後の車両の運用等に対応するため、基地を拡張する「総合基地整備事業」を推進しています。2025年度は軌道及び電気設備関係の詳細設計や造成工事に着手します。



そのほか、新造車両(TX-4000系)の検討、混雑状況等の情報提供・情報発信の充実に向けた取組み等、今後も時代の変化に対応した豊かな暮らしを支えるサービスを提供してまいります。
お客様の利便性や快適性の拡充
お客様の意識やご利用動向の変化等を注視し、時代の変化に対応した利便性・快適性に優れたサービスを提供していきます。具体的には、QR乗車券システム及びクレジットカード等によるタッチ決済システムやTXアプリの導入を実施し、導入後も追加機能の検討等に向けて取り組んでまいります。



今後も、上記のような安全・安定・安心輸送の維持・向上やサービス改善を着実に進めていくため、年間115億円規模の設備投資を継続的に実施していく必要があります。

※ 申請内容に基づき作成。
※ 端数処理のため、項目の計と合計が一致しない場合があります。
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(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構への債務償還
- つくばエクスプレスの鉄道施設は、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下、機構という)によって建設、譲渡され、その債務残高は2024年度末時点で約4,163億円です。今後も約20年間、毎年約200億円の償還を行っていく必要があります。
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運賃改定による財務基盤の強化
- コロナ禍によるお客様の利用動向の変化によって、運輸収入は激減し経営に大きな影響を受けました。
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足下の運輸収入はコロナ禍から回復していますが、今後、安全・安定・安心輸送の確保に必要不可欠な設備投資を着実に実施し、債務の償還を行っていくためには、円滑な資金調達が必要です。そのため、施設・設備等の大規模更新等が本格化する前に、運賃改定によって財務基盤を強化することが不可欠です。
- 以上のような背景から、昨今の物価高騰等に対応しつつ、将来にわたって安全・安定・安心輸送の維持・向上を図り、持続可能な経営を行うため、当社のさらなる経営努力を前提に開業以来初(消費税率変更によるものを除く)となる運賃改定を実施いたします。
主な改定内容
概要
- 実施予定時期
- 2026年3月(予定) ※改定日が確定しましたら、改めてお知らせいたします。
- 改定内容
- 普通旅客運賃、定期旅客運賃(通勤・通学)
- 改定率・増収率
- 12.2%(定期外8.2%・通勤定期20.2%・通学定期△15.3%)
ポイント
- 値上げとなる券種
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大人普通旅客運賃(IC・きっぷ)、小児普通旅客運賃(きっぷ)、通勤定期旅客運賃
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- 子育て世代の負担軽減のための据え置き又は値下げとなる券種
- 小児普通旅客運賃(IC)、通学定期旅客運賃
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- ※この表は横にスライドができます。
券種 現行 改定後 普通券 大人 IC:初乗168円/最長1,205円
きっぷ:初乗170円/最長1,210円
IC:初乗180円/最長1,280円
きっぷ:初乗180円/最長1,280円
小児 IC:大人の半額
きっぷ:大人の半額
IC:13キロまで据え置き、14キロ以降200円均一
きっぷ:大人の半額
定期券 通勤 平均割引率:40.6%
平均割引率:37.4%
通学 平均割引率:60.4%
平均割引率:70.0%
(これに加えて、小児は19キロ以降5,000円均一)
- 3ヵ月及び6ヵ月定期旅客運賃 計算方の変更
- 3ヵ月定期旅客運賃 現行:5%引き 改定後:2%引き
- 6ヵ月定期旅客運賃 現行:10%引き 改定後:4%引き
- 小児回数乗車券の廃止
運賃について
プレスリリース
運賃に関するQ&A
●改定後の運賃はいつから適用になりますか。
● 改定後の運賃はいくらになりますか
● 改定前に購入した乗車券は、改定以降もそのまま利用できますか。
- 改定前までに購入した乗車券は、その有効期限まで、ご利用いただけます。
● 改定前に購入した乗車券を払い戻す場合はどのように計算されますか。
- 改定日(2026年3月)の前日までに購入され、改定日以降も有効な乗車券については、改定日以降であっても改定前の旧運賃を基準に払もどし額を計算いたします。具体的な改定日は決まり次第、お知らせします。
● 小児の普通運賃はどのように変わりますか。
- ①1円単位運賃(IC)は13キロまでは現行運賃の据え置き、14キロ以降は200円均一となります。
- ②10円単位運賃(きっぷ)については、現行の運賃算出方法から変更はありません。(大人運賃の半額とし、10円未満の端数は10円単位に切り上げます。)
● 小児の定期運賃はどのように変わりますか。
- ①通学定期運賃は、大人通学定期運賃の半額( 10円未満の端数は10円単位に切り上げます。 )となりますが、19キロ以降は5,000円均一となります。
- ②通勤定期運賃は、大人運賃の変更に伴い改定します。計算方法は運賃算出方法から変更はありません。(大人運賃の半額とし、10円未満の端数は10円単位に切り上げます。)
● その他の運賃・料金はどうなりますか。
- 普通運賃を基にした割引運賃や特定運賃は運賃改定に合わせて変更となります。